立命館アジア太平洋大学付属DDIT(Digital Disruptive Innovation Technologies)研究センターの研究パートナーに認定される。
バイオエレクトロニクスを用いたヘルスケア分野での成果が評価され、農業分野への応用を目的とした共同研究を開始する。日本農業の知識と経験をベースに、IT技術を活かした精密農業として、土壌から食卓までの可視化をシステム化することで、独自のオーガニック認証制度を確立し、その普及を目指している。
農業情報科学への取り組み
観測装置1
観測装置2
観測データ蓄積処理システム(クラウドサーバ)
観測データ管理アプリケーション
農業におけるブロックチェーンの活用
1.トレーサビリティ~ 「食の安全性」の透明化を図る ~
世界的に「食の安全性」への意識が高まっているものの、国・地域ごとに安全性の基準は異なる。ある国では使用が禁止されている農薬が、他国では許可されているといった状況も多く、世界保健機構(WHO)の調査によると、年間42万人が食品汚染が原因で死亡している(そのうち3分の1が5歳以下の子ども)。自分や家族が口にする食品が、「誰がいつ、どこでどのように生産、収穫し、加工したのか」を知りたいと感じるのは、消費者の自然な心理だろう。
従来の管理法では、大量生産の食品を細かく追跡するにも限界があり、汚染・感染経路を突き止める場合など、相当の時間を要するケースが多い。第一、事件が起きてから原因を追跡するのでは遅すぎる。安全な食品を供給する上で、一部の供給者の意識改革も必須となるはずだ。
こうした食品につきまとう「不透明さ」を、「ブロックチェーン技術」によって改善する試みを推進中である。食品が生産者から出荷され、消費者の元に届くまでの経過をブロックチェーン上に細かく記録することで、サプライチェーンの透明化を図る。
2.フェアトレード
ブロックチェーン技術の導入は、発展途上国と先進国の経済格差解消や、環境保護にも貢献できる。また、発展途上国の労働者の生活向上を目指したフェアトレード(公平な取引)にも活用可能だ。
経済格差の一因として、「国際貿易の仕組みが発展途上国に不利に作用している場合が多い」ことがあげられる。こうした問題解消策として、「フェアトレード」が欧米を中心に広がりを見せている。発展途上国から先進国に輸入される原料や製品を、適正な価格で継続的に購入することで、労働者や生産者に公平な賃金を支払うという取り組みだ。
消費者はフェアトレードの標識がついた商品を意識して購入することで、発展途上国の人々の生活を支援することが可能となる。
3.スマートコントラクト
農業においては、生産物の追跡と輸送管理に対する負荷が大きな課題となっているが、ブロックチェーン技術を使うことにより、スマートコントラクト(あらかじめ設定した条件に合致する状態になると、決済を含む契約内容が自動的に履行される仕組み)による単純化が可能になる。
4.大企業のパワー低減
世界の農業は多国籍大企業によって実質的に支配されている。大企業は多くの場合、市場における最大の買い手であるため、価格を決めたり、小規模農家に対する生産指示が出来てしまう構造である。しかし、ブロックチェーン技術の導入により、小規模農家も消費者と直接取引が可能となり、金融サポートを受ける機会も各段に増える。小規模農家が力をつけ、相対的に大企業のパワー低減が可能となる。
5.価格決定メカニズムの変化
現在は生産物の購入市場は大企業によってコントロールされており、価格決定方式が不透明である。しかし、ブロックチェーン技術の導入により、サプライチェーンが透明化することで、消費者が賢い選択をすることが可能になり、価格決定メカニズムも大きく変化することを余儀なくされる。